ＥＤ（勃起不全）は重大な病気の前触れとしても現れる。そしてバイアグラ

EDの説明と、バイアグラについてＥＤは危険な病気の前触れって本当！？

ＥＤ（勃起不全）の治療薬として有名なバイアグラですが、これはあくまでも商品名であり、薬品としての名前はシルデナフィルと言います。

本来はＥＤ治療薬としてではなく、狭心症の治療薬として開発されていたバイアグラなのですが、期待されていた狭心症の治療薬としては優れた成績を残しませんでした。

しかし、臨床試験の最中、偶然にも勃起を促進するという効果が発見されたことで、この画期的な薬品にスポットライトが当たることになります。

バイアグラはＥＤに対して、極めて効果的な薬品だったのです。

それが、どれだけ驚くべき発明だったのか？

じつは、ＥＤ（勃起不全）を治療する効果的な内服薬は、このバイアグラが登場するまでは存在しなかったのです。

バイアグラ（シルデナフィル）は、ＥＤに対する効果的な薬であり、しかも、飲み薬であることから使いやすい。そういった優れたセールス・ポイントがありました。

こうして、バイアグラという画期的な薬は、ＥＤ治療を大きく進展させると共に、誰しもが耳にしたことがあるほど有名な薬品としても、人々の記憶に残ることになります。

人間の生理的機能はアクセルとブレーキのように、相反するシステムで制御されています。

勃起においては、ｃＧＭＰ（環状グアノシン―リン酸）と、ＰＤＥ５という酵素が、それぞれアクセルとブレーキの関係にあります。

ｃＧＭＰがあれば、ペニスへの血流が促進されることになり、その結果としてペニス内の海綿体には血液が満ちて、勃起が起きています。つまりは、アクセルとしての立場です。

対して、ＰＤＥ５が持つ機能は、ｃＧＭＰの妨害です。

ＰＤＥ５の存在は、ｃＧＭＰが起こすペニスへの血流増大を邪魔してしまう、勃起に対しては、まさにブレーキをかける役割を持っています。

本来は、このアクセル／ｃＧＭＰと、ブレーキ／ＰＤＥ５によって、勃起という生理現象はコントロールされているわけです。

さて、バイアグラがＥＤ治療薬として有効な理由は、勃起に対してのブレーキであるＰＤＥ５を抑制する働きがあるからです。

つまり、バイアグラを使えば、勃起に対してのブレーキ物質が、その機能を低下させることになります。

その結果として、アクセル／ｃＧＭＰが優位に作用することになり、勃起を促進・持続させやすくするという、ＥＤ治療薬としての効果を発揮しているわけです。

ＥＤはペニスに対しての血流が低下することにより発生していることから、血管が不健康な状態であることも、ＥＤの大きな原因の一つとされています。

つまり、動脈硬化などの存在が、ＥＤを起こしている可能性も考えられるわけです。この動脈硬化は全身の血管で同時に進行していきますが、細い血管から障害が発生しやすいという特徴があります。

脳近辺の動脈の直径は５～７㎜あり、心臓周辺の動脈は３～４㎜です。そして、ペニスの動脈の直径は１～２㎜と極めて細いことから、脳や心臓に対して動脈硬化が起こすトラブルに先駆けるようにして、ＥＤが発生する可能性が指摘されています。

ＥＤの発生は、動脈硬化の存在・進行を示すものでもあり、ペニスだけでなく、全身の血管の健康状態が悪化していることを予感させるものです。

動脈硬化をもたらす原因には、糖尿病、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドロームなどがあり、ＥＤはこれらとの合併が多く見られることも特徴なのです。

血管の健康状態が悪化すれば、脳や心臓に対する重篤なトラブルが起きる危険性は上昇することになります。それらは生命・健康に対しての大きなリスクとなっていきます。

血管の健康を維持することは、人生において、健康な期間や寿命そのものにも直結する重要なテーマです。

ＥＤは、ある意味では動脈硬化の進展を自覚させてくれる希有な症状でもあります。ＥＤの発症を、生活習慣の見直しに結びつけることで、将来の健康を守ることにもつながって行きます。

より良い人生を送るためにも、食事の栄養バランス、喫煙・飲酒や、ウォーキングなどの有酸素運動の有無を見直し……血管にやさしい生活習慣を送ることが、ＥＤ治療や予防、何よりも健康状態を維持することに貢献して行くわけです。